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騒音トラブル/弁護士 熊谷 博幸

弁護士 熊谷博幸 > 不動産 > 騒音トラブル

騒音トラブル

騒音トラブルがあった場合において、騒音をやめさせる手段として第一に思いつくものとして、騒音の差止請求があります。差止請求については、民法に置いて明文の規定がないことから、根拠について争いがありますが、まず第一に、被害者が、土地や建物についての所有権を有している場合には、その所有権の円満な行使を妨害されたとして、所有権に基づく妨害排除請求権または妨害予防請求権としての差止請求権が認められ得るとされます。もっとも、騒音がある場合には常に認められるわけではなく、隣人も、土地や建物について所有権を有しており、その不動産の中で、テレビの音など、ある程度の音を出すことは所有権の行使として正当化されるべきものであるため、隣人の騒音が所有権の行使として正当化できる範囲を超えている場合に、差止請求が認められうることになります。

 

もっとも、上記の構成では、被害者が、土地や建物について所有権を有していない場合には、差止請求ができないことになります。個人の生活上の利益は、所有権のような物権と同様に保護に値すべきものです。そのため、この場合には、人格権に基づく妨害排除請求権または妨害予防請求権としての差止請求権を認める見解が有力であり、これを認めた裁判例もあります。ここでいう人格権とは、生命・健康を人間が本来有する状態で維持しうる権利と捉え、人格権侵害は、個人の人格に本質的に付帯する個人の生命、身体、精神および生活に関する利益の侵害と捉えられます。ただし、人格権を根拠とする場合でも、所有権などの物権を根拠とする場合と同様、常に認められるわけではありません。これは、保護されようとする被害者の権利・利益と、それにより制約を受ける加害者の権利・利益とを比較して判断をするべきだとされており、これを、裁判例の中では、「受忍限度」という言葉を用いて検討しているものもあります。

 

マンション等の一室を借りているという様な場合においては、差止以外の方法として、賃貸借契約の相手方たる賃貸人に、隣人の騒音行為をやめさせるよう請求するということが考えられます、これは、賃貸借契約の内容として、賃貸人は、賃借人に対し、目的物たるマンションの一室を円満に使用収益させる債務を負っており(民法601条)、騒音行為は、円満な使用を妨げているものであり、これがある限りで、賃貸人は債務不履行に陥っているといえるためです。この場合も、騒音行為が、受忍限度を逸脱していることが必要となり得るでしょう。もし、賃貸人に請求しても、適切な行為に出てくれない場合には、賃借人がとりうる手段は、賃貸人に代わって隣人に対し、賃貸人と隣人との間の賃貸借契約に基づき、適切な使用をするよう請求すること(民法423条)、民法414条に規定の、履行の強制をすることなどが考えられます。また、賃貸人が債務不履行に陥っているため、民法415条に基づく損害賠償請求や、賃貸人との信頼関係が破壊されていれば、民法541条に基づく賃貸借契約の解除なども、賃借人がとりうる手段として考えられます。

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著作等

共著『詳解 働き方改革関連法』労働開発研究会 2019年7月

共著『第2版 実務コンメンタール労働基準法・労働契約法』労務行政研究所
2020年03月 令和2年3月31日現在

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