無断欠勤を理由に社員を解雇できる?
無断欠勤を繰り返す社員を正当に解雇するというのは、会社にとってはかなりハードルが高いものであると言わざるを得ません。というのは、法律により会社が社員を解雇することができる要件が定められており、これらの要件に合致しなければ社員の解雇は不当なものとして扱われるからです。
法律によって、解雇には一定の制限がかけられています。会社(使用者)による解雇は、解雇を行う客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、権利の濫用として無効となります(労働契約法16条)。逆に、①客観的な合理性があることと、②社会通念上相当であると認められることの、2つの要件が満たされれば、解雇は会社の正当な権利行使として認められます。ここで解雇の指標となるのは、就業規則です。常時10人以上の社員(労働者)を雇っている会社は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないことになっています(労働基準法89条)。その就業規則の中に「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」についても作成しなければなりません(同条3号)。これに沿って解雇の手続きを進めることが最低限のルールとなります。
また、社員(労働者)を解雇しようとする際に、会社(使用者)は少なくとも30日前に解雇することの予告をしなければならないことになっています(労働基準法20条1項前段)。30日前に解雇予告をしない場合には、会社は社員に対し30日分以上の平均賃金を支払わなければならないです(同項後段)。
ただ、無断欠勤を繰り返す社員に対しては解雇予告を除外しうること(解雇予告除外認定)があります。どのような場合に解雇予告を除外することができるかというと、「従業者の責に帰すべき事由」、具体的には2週間以上正当なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合がこれにあたります。もっとも、会社が労働基準監督署に対して解雇予告除外認定の申請を行い、監督署がそれに応ずる形で無断欠勤を繰り返す社員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、使用者、従業員の双方から直接事情等を聞いて認定するかどうかを判断することになります。
このように、会社からの解雇を行う際には一定の要件を満たす必要があります。そのため、退職勧奨により自主的に問題社員を辞めさせるという方針も考えられます。退職勧奨は、法律による制限は特にないため、会社にとっては便利な解雇手段になります。しかし、自主退職を勧める言い方により、会社による違法なハラスメントとして訴えられる可能性がありますので、十分に注意する必要があります。
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