03-5512-8151
対応時間
平日10時~20時
定休日
土・日・祝日

※事前予約で休日対応可能

無断欠勤を理由に社員を解雇できる?/弁護士 熊谷 博幸

弁護士 熊谷博幸 > 労働法務(使用者側) > 無断欠勤を理由に社員を解雇できる?

無断欠勤を理由に社員を解雇できる?

無断欠勤を繰り返す社員を正当に解雇するというのは、会社にとってはかなりハードルが高いものであると言わざるを得ません。というのは、法律により会社が社員を解雇することができる要件が定められており、これらの要件に合致しなければ社員の解雇は不当なものとして扱われるからです。

 

法律によって、解雇には一定の制限がかけられています。会社(使用者)による解雇は、解雇を行う客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、権利の濫用として無効となります(労働契約法16条)。逆に、①客観的な合理性があることと、②社会通念上相当であると認められることの、2つの要件が満たされれば、解雇は会社の正当な権利行使として認められます。ここで解雇の指標となるのは、就業規則です。常時10人以上の社員(労働者)を雇っている会社は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないことになっています(労働基準法89条)。その就業規則の中に「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」についても作成しなければなりません(同条3号)。これに沿って解雇の手続きを進めることが最低限のルールとなります。

 

また、社員(労働者)を解雇しようとする際に、会社(使用者)は少なくとも30日前に解雇することの予告をしなければならないことになっています(労働基準法20条1項前段)。30日前に解雇予告をしない場合には、会社は社員に対し30日分以上の平均賃金を支払わなければならないです(同項後段)。

 

ただ、無断欠勤を繰り返す社員に対しては解雇予告を除外しうること(解雇予告除外認定)があります。どのような場合に解雇予告を除外することができるかというと、「従業者の責に帰すべき事由」、具体的には2週間以上正当なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合がこれにあたります。もっとも、会社が労働基準監督署に対して解雇予告除外認定の申請を行い、監督署がそれに応ずる形で無断欠勤を繰り返す社員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、使用者、従業員の双方から直接事情等を聞いて認定するかどうかを判断することになります。

 

このように、会社からの解雇を行う際には一定の要件を満たす必要があります。そのため、退職勧奨により自主的に問題社員を辞めさせるという方針も考えられます。退職勧奨は、法律による制限は特にないため、会社にとっては便利な解雇手段になります。しかし、自主退職を勧める言い方により、会社による違法なハラスメントとして訴えられる可能性がありますので、十分に注意する必要があります。

 

飯野・八代法律事務所では、一都三県、大宮(埼玉)、茨城県の皆様から、企業法務全般、労働問題(雇用主側)、不動産、一般民事・家事に関するご相談を承っております。
労働法務についてご不明な点がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

当事務所が提供する基礎知識

  • 労働契約書の作成

    ⬛︎労働契約書の必要性労働条件通知書や雇用契約書は、正社員に限らずパートやアルバイト・契約社員であっても、雇用時に明示す...

  • 個人間の金銭トラブル

    「友人に貸したお金がいつまで経っても返ってこない」「かなり昔の借金に対し、知人から突然請求が来て困っている」このように、...

  • 解雇・退職勧奨

    ■解雇の条件日本の労働法は雇用期間途中の解雇に厳格な要件を課しています。合理的な理由が存在し、社会通念上相当といえる場合...

  • 共有不動産の分割

    共有物については、共有者間に分割をしない旨の契約があるという様な事情がなければ、原則としていつでも分割を請求することがで...

  • コンプライアンスマニュア...

    ⬛︎コンプライアンスマニュアルとはそもそもコンプライアンスとは、法律や倫理に従って業務を行えるようシステムを整えることを...

  • 相続問題

    相続問題は、多くの場合、ご遺族様が深い悲しみに沈んでいる際に発生するものです。「故人の遺産はどの程度あったのか」「動産や...

  • 売掛金の回収

    ⬛︎売掛金の支払が遅れたら期限を過ぎても支払いがなされない場合は、支払いがなされるまで督促を繰り返し、どうしても支払いを...

  • 就業規則違反社員への正し...

    就業規則とは会社と従業員が守るべきルールのことを言います。 常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則を作成し、...

  • 従業員から未払いの残業代...

    会社の従業員から未払いの残業代の請求を受けたときに、どのような対応をすることができるでしょうか。まずは、従業員が請求して...

  • 不動産トラブルとは

    不動産トラブルといっても、借りているマンションにおける隣人トラブルや、購入した不動産に欠陥があるなどのように、様々な種類...

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

弁護士 熊谷 博幸 (くまがい ひろゆき)
所属 第一東京弁護士会
所属事務所 飯野・八代法律事務所
所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル15階
電話番号/FAX番号 03-5512-8151 / 03-5512-8155
対応時間 平日10時~20時
定休日 土・日・祝日(※事前予約で休日対応可能)
著作等

共著『詳解 働き方改革関連法』労働開発研究会 2019年7月

共著『第2版 実務コンメンタール労働基準法・労働契約法』労務行政研究所
2020年03月 令和2年3月31日現在

ページトップへ