民事再生と会社更生の違い
債務超過に陥るなどして、自力では経営する事業の立て直しが困難であるような場合には、倒産処理を行うことで救済を受けることが考えられます。
主な倒産手続きとしては、破産手続、特別清算手続、民事再生手続、会社再生手続といったものが挙げられますが、このうち前者2つは清算型、後者2つは再建型といわれています。
清算型とは会社を消滅させ、その財産等をすべて処分することで債務を消滅させるものですが、再建型は会社を維持し、一部の財産を保有したまま、一から経済的更生を試みる手続です。民事再生と会社更生はいずれも再建型の倒産手続である点で共通します。一方で、両者には以下のような複数の相違点が挙げられます。
1.根拠法
民事再生手続は民事再生法、会社更生手続は会社更生法を根拠法としています。
2.適用対象となる債務者の範囲
民事再生手続は法人及び個人の双方を適用対象としていますが、会社更生手続は株式会社のみを適用対象としています。このように、会社更生手続は規模の大きい会社の再建を想定したものであり、民事再生はそれ以外の中小企業や個人を対象とした制度になっています。
3.手続きの遂行主体
民事再生手続は会社更生と比較すると簡易的なものとなっており、裁判所が選任した監督委員による指導・監督はあるものの、基本的に再生債務者である会社の従来の経営陣が直接再建手続を進めることが特徴です。早期再建を目指す場合には、民事再生を選択する場合が多いといえます。会社更生の場合は手続きが煩雑なため、裁判所の選任する更生管財人のみが再建手続に着手でき、倒産会社の経営陣はそれに関与することができません。また、多大な時間や費用を要することも少なくありません。
4.株主の地位
会社更生の場合は100%減資により株主が責任を負い、株主としての地位を失うことが多々あります。
以上の相違点から、実際の手続利用数は民事再生手続の方が多く、再建型倒産手続としては民事再生手続が基本形態の位置付けとなっています。倒産手続をするにあたっては、会社の将来に関わる重大な判断をすることとなります。より適切かつ効率的な方法によるためにも、ご検討の際には一度弁護士までご相談ください。
弁護士 熊谷博幸(飯野・八代法律事務所)は、東京都を中心に、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県にお住いの皆様から、企業法務、労働法務(使用者側)、不動産、一般民事・家事にかかるご相談を承っております。お困りのことがございましたら、是非お気軽にご相談ください。
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