03-5512-8151
対応時間
平日10時~20時
定休日
土・日・祝日

※事前予約で休日対応可能

違法にならない退職勧奨の方法/弁護士 熊谷 博幸

弁護士 熊谷博幸 > 労働法務(使用者側) > 違法にならない退職勧奨の方法

違法にならない退職勧奨の方法

昨年に引き続き、2021年も新型コロナウイルスの影響による経済的打撃が懸念されます。

先行きの不安なこの1年間で、経営不振により人材コストの削減に取り組む企業が増加しました。

それに伴い、離職率の急増だけでなく、早期・希望退職を実施する企業が目立つことも、大いに話題になりました。

 

しかし、退職は従業員にとって非常に重大な問題です。違法な退職勧奨により、強制的に退職させるといった行為は、後々トラブルに発展するおそれがあります。

企業としては、適切な退職勧奨を行うことで、そのようなトラブルを未然に防止することができます。

 

そもそも退職勧奨とは、企業が従業員に対して退職を勧めることを指します。これは、あくまで従業員に自主的な退職を促すものであり、解雇と異なり退職勧奨に法的効力はありませんから、退職勧奨を受けたとしても、実際に退職するかの判断は従業員自身に委ねられています。そして、企業はいつでも退職勧奨をすることが可能です。ただしその方法に問題があれば、「退職強制」、すなわち違法な行為であると判断され、企業側が賠償責任を負う場合があるため注意を要します。

 

違法な退職勧奨行為とされるケースとしては、過去の裁判例から、①社会通念上相当な程度を超えるほどに不当な心理的圧力を加える行為、②名誉感情を不当に害する言動を用いる行為や、③退職する以外に方法は無いと従業員に誤認させる場合、がこれにあたるとされています。

 

具体的には、
・従業員が明確に退職を拒絶しているにもかかわらず、多数回・長時間にわたって執拗に退職を要請する行為
・退職させるため、無視・暴力行為・仕事差別・嫌がらせなどをする行為
・退職させるため、業績が上がらないよう一人部屋に隔離したり、逆に過酷な業務を割り当てる行為
・退職させるため、他人の前でひどく叱責・罵倒するなどして心理的圧迫を加える行為
・給料を大幅にカットする/解雇の該当事由がないにもかかわらず自主退職しなければ懲戒解雇をする、といった発言をすることで、実質的に自主退職を強いる行為(強迫行為を含む)


などが挙げられます。

退職勧奨の際には、以上を参考に、
・従業員の退職拒絶意思が明らかであるときは、それ以上執拗に退職を勧めない
・面接を行う場合は個別で短時間にし、多数回行わない
・威圧的・名誉を棄損するような言動は使用しない
・従業員へ退職を余儀なくさせるような不利益行為は行わない
といった点に注意してください。

 

退職にまつわるトラブルは、企業のイメージを毀損しかねるため、慎重な対処が必要です。退職勧奨などをご検討の際には、一度弁護士にご相談ください。

弁護士 熊谷博幸(飯野・八代法律事務所)は、東京都を中心に、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県にお住いの皆様から、企業法務、労働法務(使用者側)、不動産、一般民事・家事にかかるご相談を承っております。お困りのことがございましたら、是非お気軽にご相談ください。

最適な解決方法をご提案させていただきます。

当事務所が提供する基礎知識

  • 共有不動産の分割

    共有物については、共有者間に分割をしない旨の契約があるという様な事情がなければ、原則としていつでも分割を請求することがで...

  • 個人間の金銭トラブル

    「友人に貸したお金がいつまで経っても返ってこない」「かなり昔の借金に対し、知人から突然請求が来て困っている」このように、...

  • 就業規則違反社員への正し...

    就業規則とは会社と従業員が守るべきルールのことを言います。 常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則を作成し、...

  • 騒音トラブル

    騒音トラブルがあった場合において、騒音をやめさせる手段として第一に思いつくものとして、騒音の差止請求があります。差止請求...

  • 解雇予告とは

    昨今のコロナ禍で、経営不振により従業員の解雇を余儀なくされている企業も少なくありません。しかし、解雇の方法によっては、様...

  • 売掛金の回収

    ⬛︎売掛金の支払が遅れたら期限を過ぎても支払いがなされない場合は、支払いがなされるまで督促を繰り返し、どうしても支払いを...

  • 立ち退き交渉

    何ら契約をしていないにもかかわらず、土地や建物について占拠されているという様な場合については、その土地や建物の所有者は、...

  • 浮気・不倫の慰謝料

    配偶者が浮気・不倫をしている場合、「慰謝料を請求したい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、全てのケースにおいて...

  • 従業員から未払いの残業代...

    会社の従業員から未払いの残業代の請求を受けたときに、どのような対応をすることができるでしょうか。まずは、従業員が請求して...

  • 大宮の離婚問題は弁護士に...

    夫婦間での仲がうまくいかなくなってしまった場合、離婚を選択する人もいるでしょう。しかし、離婚するにあたっても、決めなけれ...

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

弁護士 熊谷 博幸 (くまがい ひろゆき)
所属 第一東京弁護士会
所属事務所 飯野・八代法律事務所
所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル15階
電話番号/FAX番号 03-5512-8151 / 03-5512-8155
対応時間 平日10時~20時
定休日 土・日・祝日(※事前予約で休日対応可能)
著作等

共著『詳解 働き方改革関連法』労働開発研究会 2019年7月

共著『第2版 実務コンメンタール労働基準法・労働契約法』労務行政研究所
2020年03月 令和2年3月31日現在

ページトップへ