03-5512-8151
対応時間
平日10時~20時
定休日
土・日・祝日

※事前予約で休日対応可能

騒音トラブル/弁護士 熊谷 博幸

弁護士 熊谷博幸 > 不動産 > 騒音トラブル

騒音トラブル

騒音トラブルがあった場合において、騒音をやめさせる手段として第一に思いつくものとして、騒音の差止請求があります。差止請求については、民法に置いて明文の規定がないことから、根拠について争いがありますが、まず第一に、被害者が、土地や建物についての所有権を有している場合には、その所有権の円満な行使を妨害されたとして、所有権に基づく妨害排除請求権または妨害予防請求権としての差止請求権が認められ得るとされます。もっとも、騒音がある場合には常に認められるわけではなく、隣人も、土地や建物について所有権を有しており、その不動産の中で、テレビの音など、ある程度の音を出すことは所有権の行使として正当化されるべきものであるため、隣人の騒音が所有権の行使として正当化できる範囲を超えている場合に、差止請求が認められうることになります。

 

もっとも、上記の構成では、被害者が、土地や建物について所有権を有していない場合には、差止請求ができないことになります。個人の生活上の利益は、所有権のような物権と同様に保護に値すべきものです。そのため、この場合には、人格権に基づく妨害排除請求権または妨害予防請求権としての差止請求権を認める見解が有力であり、これを認めた裁判例もあります。ここでいう人格権とは、生命・健康を人間が本来有する状態で維持しうる権利と捉え、人格権侵害は、個人の人格に本質的に付帯する個人の生命、身体、精神および生活に関する利益の侵害と捉えられます。ただし、人格権を根拠とする場合でも、所有権などの物権を根拠とする場合と同様、常に認められるわけではありません。これは、保護されようとする被害者の権利・利益と、それにより制約を受ける加害者の権利・利益とを比較して判断をするべきだとされており、これを、裁判例の中では、「受忍限度」という言葉を用いて検討しているものもあります。

 

マンション等の一室を借りているという様な場合においては、差止以外の方法として、賃貸借契約の相手方たる賃貸人に、隣人の騒音行為をやめさせるよう請求するということが考えられます、これは、賃貸借契約の内容として、賃貸人は、賃借人に対し、目的物たるマンションの一室を円満に使用収益させる債務を負っており(民法601条)、騒音行為は、円満な使用を妨げているものであり、これがある限りで、賃貸人は債務不履行に陥っているといえるためです。この場合も、騒音行為が、受忍限度を逸脱していることが必要となり得るでしょう。もし、賃貸人に請求しても、適切な行為に出てくれない場合には、賃借人がとりうる手段は、賃貸人に代わって隣人に対し、賃貸人と隣人との間の賃貸借契約に基づき、適切な使用をするよう請求すること(民法423条)、民法414条に規定の、履行の強制をすることなどが考えられます。また、賃貸人が債務不履行に陥っているため、民法415条に基づく損害賠償請求や、賃貸人との信頼関係が破壊されていれば、民法541条に基づく賃貸借契約の解除なども、賃借人がとりうる手段として考えられます。

当事務所が提供する基礎知識

  • 売掛金の時効について

    売掛金には時効があり、一定の期間が経過すれば消滅時効により回収できなくなる恐れがあります。そのため、売掛金の請求をいつま...

  • 個人間の金銭トラブル

    「友人に貸したお金がいつまで経っても返ってこない」「かなり昔の借金に対し、知人から突然請求が来て困っている」このように、...

  • 就業規則

    ⬛︎就業規則とは就業規則は、その会社における最低限の労働条件を定めるルールです。個々の労働者と就業規則を下回る条件の労働...

  • 不動産トラブルとは

    不動産トラブルといっても、借りているマンションにおける隣人トラブルや、購入した不動産に欠陥があるなどのように、様々な種類...

  • 従業員から未払いの残業代...

    会社の従業員から未払いの残業代の請求を受けたときに、どのような対応をすることができるでしょうか。まずは、従業員が請求して...

  • 就業規則違反社員への正し...

    就業規則とは会社と従業員が守るべきルールのことを言います。 常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則を作成し、...

  • 強制退去の流れと弁護士に...

    借家人が長期間家賃を滞納している場合などでは、強制退去を検討することになります。家賃滞納を原因とする強制退去の流れとして...

  • 違法にならない退職勧奨の...

    昨年に引き続き、2021年も新型コロナウイルスの影響による経済的打撃が懸念されます。先行きの不安なこの1年間で、経営不振...

  • 賃料増額・減額

    賃貸借契約については、民法601条以下に規定があります。そして、賃貸借契約は、合意により成立する契約ですが、合意の内容に...

  • 解雇予告とは

    昨今のコロナ禍で、経営不振により従業員の解雇を余儀なくされている企業も少なくありません。しかし、解雇の方法によっては、様...

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

弁護士 熊谷 博幸 (くまがい ひろゆき)
所属 第一東京弁護士会
所属事務所 飯野・八代法律事務所
所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル15階
電話番号/FAX番号 03-5512-8151 / 03-5512-8155
対応時間 平日10時~20時
定休日 土・日・祝日(※事前予約で休日対応可能)
著作等

共著『詳解 働き方改革関連法』労働開発研究会 2019年7月

共著『第2版 実務コンメンタール労働基準法・労働契約法』労務行政研究所
2020年03月 令和2年3月31日現在

ページトップへ