解雇・退職勧奨
■解雇の条件
日本の労働法は雇用期間途中の解雇に厳格な要件を課しています。合理的な理由が存在し、社会通念上相当といえる場合でなければ解雇は認められないのです。条件をみたさない解雇は解雇権の濫用にあたり、無効とみなされます。解雇が無効になると解雇期間中の賃金を支払わなければなりません。
上記の解雇要件をみたすためには、解雇をどうしても避けられないような事情が存在しなければなりません。単なる能力不足や経営の不調を理由に解雇することは許されません。犯罪や経歴詐称など使用者との信頼を根底から崩壊させるような事情や、解雇以外の方法で避けられない経営危機がなければ解雇は認められません。
■退職勧奨
早期退職の募集など退職勧奨については法律上これを明示的に規制するような条文は存在しません。したがって、あくまでも労働者の意思を尊重する形での退職勧奨は行えます。ただし、妊娠出産など不当な理由に基づく退職勧奨や、追い出し部屋のようなパワハラを伴う退職勧奨は認められません。このような退職勧奨がなされた場合は事実上の解雇権濫用とみなされ退職が無効になる危険があるほか労働契約違反や不法行為に基づき損害賠償を請求される危険があります。
したがって、解雇規制を潜脱する方法としての退職勧奨は認められません。
弁護士熊谷博幸は、労働問題に関するご相談を承ります。お困りの際には、ぜひご連絡ください。